被爆者相談所および法人事務所
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2001年発表の抗議・声明など

臨界前核実験に抗議します

2001年12月18日

アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ閣下

  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 会長 田川時彦

 貴国は12月14日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、通算15回目の臨界前核実験を強行しました。
これまでも、貴国が臨界前核実験をするたびに抗議してきた私たちは、私たちの願いを無視してまたも繰り返された核実験に、腹の底からの怒りを込めて、改めて抗議します。
 貴国が56年前に、広島・長崎に投下した原爆で、被爆者は、からだとこころに深い傷をうけ、今も苦しんでいます。東京では、12月8日にも、原爆を呪いながら、一人の被爆者がガンで亡くなりました。病床には多数の被爆者が、放射線障害で伏しています。
 核兵器が人間の上に使われたらどんなことになるか、被爆者を見れば明らかです。だから私たちは、核兵器の使用につながるあらゆる種類の実験に反対し、核兵器を廃絶するよう要求しているのです。
 貴国の最近の言動を見ると、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准を放棄し、環境保全のための京都議定書から離脱し、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約からの脱退を一方的に通告するなど、核兵器廃絶と平和を求める私たちの願いと国際世論に背を向けるものばかりです。
 私たちは、抗議の思いを込めて要求します。

  1. 臨界前核実験をこれ以上繰り返さないでください。
  2. CTBTを批准し、核兵器の開発、使用につながるあらゆる種類の核実験を禁止してください。
  3. 核兵器廃絶の約束を実行し、核兵器廃絶のための国際条約締結のための行動を開始してください。
歩道に並ぶ抗議行動参加者らと、威圧するように棒を持って立つ日本の警官。
警察からこれまでにない制限を受けた抗議行動

アメリカの臨界前核実験に抗議します

2001年9月28日

アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ様

  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 会長 田川時彦

 私たちは、9月11日のアメリカでの同時多発テロに、心からの怒りを表明します。未だ行方不明の方々を含め80カ国6000人を超す犠牲者のみなさんに心からの哀悼を捧げます。
 56年前、広島・長崎で大量・無差別の犠牲を受けた私たち原爆被害者は、犠牲者の家族・親戚・友人のみなさんの深い悲しみを、わがことのように受け止めています。それだけに私たちは、大量無差別の殺戮が地球上のどこにも、くり返されないことを願っています。
 私たちは昨年12月にもこの場に立って、平和を願う生活協同組合のお母さんたちとともに、臨界前核実験の中止と一刻も早い核兵器廃絶の実現を要請しました。
 しかしあなたは、私たちの願いに反して、9月27日(日本時間)、ネバダ核実験場地下で、通算14回目の臨界前核実験を強行しました。
 あなたは、「臨界前核実験は、包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反しない」「環境には影響ない」と言い逃れしていますが、臨界前核実験が核兵器の性能を維持し、いつでも使用できるように準備する実験であることは明白です。
 報道によると、アメリカは、テロに対して軍事力で報復する、核兵器の使用も排除しないと言明しておられます。臨界前核実験は、この政策の延長上で、核抑止力を見せつけるためにおこなわれていると聞いています。
 一発の核兵器の使用が、人間を殺し、傷つけ、生涯にわたる苦痛を強い、さらに2世、3世におよぶ不安を生み出していることを、私たち被爆者は、身をもって知っています。
 テロリストたちを絶滅させるためであっても、テロと無関係の人々が無惨に殺され、苦痛を強いられることを座視することはできません。
 私たちは21世紀のために、人類と地球の未来のために、あなたの国が投下した原爆によって殺された40万人を超える人びとの命の重みを背負って、あなたに要求します。

  1. 臨界前核実験を永遠に中止し、NPT再検討会議の「約束」にしたがって、核兵器廃絶への努力を開始してください。
  2. 大量・無差別に犠牲者を生み出す、核兵器使用をふくむ軍事報復をやめてください。
  3. 核兵器の被害の実相をアメリカ国民に広く知らせ、大量・無差別殺傷の道でなく、平和的手段での問題解決の道を追求してください