「相談電話のこえ」 2023年
2023年「東友」9月号から
自宅で亡くなっていた高齢者の事情がわかれば、と警察署から問い合わせ。
赤羽警察署の刑事からの電話。一人の高齢者(Sさん)が死後に発見され、自宅から東友会の資料がたくさん出てきたので、その人の事情がわかるなら聞きたい、との問い合わせ。
東友会は守秘義務のある相談所であることから、ひとまず電話での対応は保留し、東京都被爆者援護担当と相談。来所して身分を確認した上で対応することにしました。
東友会に来所した刑事は警察手帳を見せて、「事件性はないと思われるが、Sさんは自宅で亡くなってから1週間ほど過ぎていると推定される。家族や親類がいるなら連絡したいが、それがわからない」と話し、手がかりになることがあれば教えてほしいとのことでした。
Sさんは昭和16年生まれであること、長崎の原爆で家族を全て亡くした後、授産所で働きながら、ずっと慎ましい生活を続けていたこと、身内はいないと聞いていることを伝えました。
ノーモア・ヒバクシャ訴訟に参加していた方ですので、担当弁護士の連絡先も知らせました。
2023年「東友」7月号から
子どもに被爆者であることは話していません。反応が怖いのです。
81歳、男性。3歳のとき広島入市被爆。自分が被爆者であることを子どもに伝えるべきかどうかで相談。
私は3歳のとき、8月7日に親に連れられ家族捜しのため市内に入りました。社会人になったころ、父が私のために取っておいてくれた被爆者手帳を送ってくれました。私は、被爆者であることで差別を受けていた人を知っていたので、誰にも言いませんでした。病院でも手帳は使わず、手当の申請もしませんでした。60歳を過ぎたころから、具合の悪いところが出てきて治療費がかさむようになり、被爆者手帳を使うようになりました。
子どもが1人いるのですが、私が被爆者であることは話していません。子どもの反応が怖いのです。子どもは、喘息がひどく苦しんでいます。被爆との関係はわかりませんが、私の被爆が原因ではないかと悩むかもしれません。
私が被爆したことは死ぬまで言わないでおこうと思ってきましたが、近ごろ、伝えた方がよいのか迷うようになりました。
2023年「東友」5月号から
治療が終わって13年目ですが、手当は継続できるでしょうか。
77歳、男性。長崎・胎内被爆。転居先から医療特別手当の更新についての相談。
昨年4月、自然豊かな県へ引っ越しました。63年間の東京での暮らしに別れを告げ、森の中で人生を全うすることになりそうです。東友会にはほんとうにお世話になりました。
3月に県から医療特別手当の更新に必要な健康状況届を出すよう書類が届きました。転居後も、がんの手術や化学療法を受けた東京の病院に、医師の指示で定期的に通院しています。この手術がもとで起こっている逆流性食道炎の治療も以前と同じです。医師の処方で消化薬をもらっているのも都内に住んでいたときと同じです。治療が終わって13年目ですが、手当は継続できるでしょうか。
相談所の対応
都内の病院の医師が作成した診断書のコピーが東友会に届き、チェックして返答。この人は県に健康状況届を提出しました。2023年6月に届く審査結果を報告してもらうことになっています。