被爆者相談所および法人事務所
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東友会が総会 高齢化を補える活動の土台づくりへ真剣な討議

核兵器廃絶と本当の平和、国の償いを実現するために
被爆者が果たすこと 次代の協力を得ること みんなで支え合うこと

 一般社団法人東友会と東京都原爆被害者団体協議会の2016年度総会が6月5日、平和と労働センターで開かれ79人が参加しました。
 総会では、核兵器廃絶を巡る世界の動きを確認し、被爆から70年をすぎた「過去の事件」となりつつある広島・長崎への原爆投下の被害を、「世界のどこにも再びヒバクシャをつくらせない」という強い願いをこめて次世代に語り残すこと、日本被団協がよびかけた「核兵器廃絶国際署名」運動を都内の平和を願う人びととともに成功させること、高齢被爆者の支え合いと励まし合いを軸にした相談事業の継続と強化などについて真剣に討議しました。
 被爆70年を期して東友会が企画した5つの事業がそれぞれ成功したことも確認し、被爆者の高齢化による地区の会の活動の低迷と財政基盤確立への対応、憲法9条など平和憲法の改定に反対し、原爆被害への「国の償い」を求め続けること。原爆症認定制度の抜本改正を求め、ノーモア・ヒバクシャ訴訟の勝利をめざすことを確認しました。
 法人の総会には、医師として30年以上被爆者を支えている園田久子・向山新医師、原爆症認定をはじめ法律家として被爆者を支援している内藤雅義・宮原哲朗弁護士、長年被爆者とともに首都・東京の核兵器廃絶の運動を支えている東京原水協の柴田桂馬・橋本博代表理事と石村和弘事務局長などが非被爆者の法人会員として参加。東友会の今後の事業の発展と継続に、新しい展望を開くものになりました。

総会会場の広い会議室、参加者が席に着いている。前方のスクリーンに写真(前回総会から1年間の活動の場面と思われる)が投影されている。
被爆70年の活動報告や、新年度の方針提案などを議論した総会

東友会総会決議

2016年6月5日
一般社団法人東友会 第68回定期総会
東京都原爆被害者団体協議会 第60回定期総会

 被爆71年目の夏が、目の前に迫ってきました。
 昨年の被爆70年という重要な節目の年に「再び被爆者をつくらない」「核兵器廃絶を!」の願いを込めて東友会が企画した事業は、多くの都民の支援を受けて確かな成果を収めることができました。
 被爆者の高齢化と減少がすすんでいくなかで、「からだ・こころ・くらし」に関わる相談内容の複雑さと深刻さが増し、一つの相談の解決に時間がかかるようになりました。この中で被爆者会員の結束と相談員の活躍が、被爆者の生きる支えとエネルギーの源になっています。
 近年、日本政府は、被爆者の不安・願いをよそに、集団的自衛権の行使容認、安保関連法の強行採決に続き、憲法の改定も手がけようとしてます。71年前被爆者が健康、暮らしに苦しんださなかに「戦争が終わった」のニュースを聞き、皆ほっとしました。そしてまもなく民主主義、主権在民、基本的人権の尊重、戦争放棄、平和主義の文言に触れ、大きな喜びを分かち合い、被爆の苦しみから立ち上がる力を得たのでした。その平和憲法を変えることは決して許すことはできません。
 核をめぐる世界の情勢は複雑ですが、核兵器をなくそうとする世界の動きは揺るぎなくすすんでいます。核兵器の非人道性と違法性を問う共同声明、国連核軍縮作業部会の開催などはそれを示しています。5月27日にはオバマ米大統領が広島を訪れました。「核兵器のない世界を追求し、努力する」とのべ、「広島と長崎は核戦争の夜明けではなく、道義的な目覚めの始まりであるべきだ」と結んだ言葉に、希望を抱きました。しかし、核兵器廃絶に向けた具体的なみちすじを示すことはありませんでした。
 いま、私たちにとって一番重要なことは、世界の人びとに核兵器の被害の実相をさらに強く語り、広めていくことです。
 現在もまだ1万6千発の核弾頭が地球上にあり、「ふたたびヒバクシャがつくられる状況にある」ことを広く伝え、核兵器廃絶の願いを多くの人びとと共有できるように、私たちは被爆者として努力しなければなりません。

  • 今年、結成60年を迎える日本被団協が開始した核兵器廃絶国際署名に協力します。
  • 一日も早く核禁止条約が結ばれることを願いながら、全員一致で承認した今年度の事業計画に取り組んでいきましょう。

一般社団法人東友会が総会 非被爆者の専門家を交え中身の濃い議論

 6月5日の一般社団法人東友会第68回総会は、法人会員139人(協議会理事112人と医師、弁護士などの専門家と被爆二世、支援者などの非被爆者27人)のうち89人(別に委任状32)が参加し、会計関係の議事以外は、協議会総会の審議もかねて進行しました。
 最初に「基調報告案」を大岩孝平代表理事が、核兵器廃絶と被爆者をめぐる動きとともに、東京在住被爆者の平均年齢が80歳になり、被爆者から求められる相談所としての高齢者対策、被爆体験や証言を次世代に残すための活動の強化という、2016年度総会の重点にふれて提案しました。
 2015年度事業報告は、家島昌志執行理事が35枚のスライドを映写しながら、被爆70年事業を中心とした重点目標の遂行状況を、わかりやすく報告。
 ノーモア・ヒバクシャ東京訴訟弁護団長の内藤雅義弁護士から「ノーモア・ヒバクシャ訴訟の現状と今後の動き」と題した特別報告が、東京被爆二世の会「おりづるの子」会長の田﨑豊子さんからも、期待が広がる被爆二世の活動報告がありました。
 会計報告の後、佐野博敏・内藤雅義監事から会計と理事の業務に対する監査報告がありました。
 事業計画は、山本英典執行理事が担当。日本被団協が提唱する「核兵器廃絶国際署名」をすすめ、原爆死没者への国の償いと、原爆症認定制度の抜本改定を求め、平和憲法を守る運動などについて提案しました。
 その後、参加者から国連NPT要請団の報告、非被爆者の証言者を教育する国立市の活動の紹介、東友会の被爆70年事業にたいする感嘆の声などが出されました。
 福島原発事故の影響に対しての質問には、放射化学の専門家である佐野都立大学元総長(法人監事)、国際反核医師の会に参加する向山医師、内藤弁護士が回答。多方面からの解説を聞いた参加者から「勉強になった総会だ」という感想が聞かれました。
 これらの討議をへて、すべての議案は全会一致で採択され、最後に木村徳子会員が読み上げた「決議」も、満場一致で採択されて閉会しました。

議長団席の後ろから、報告が行われている演台と参加者席を撮った写真。
報告に耳を傾ける参加者
参加者全員が起立して「原爆を許すまじ」を歌っている。
「原爆を許すまじ」で締めくくり

東京都原爆被害者団体協議会の総会 地区のブロック割り廃止など決まる

 6月5日午前10時30分に開会した東京都原爆被害者団体協議会第60回総会は、地区の会から登録された協議会理事と地区の会が休会中の区市に住む被爆者に協議会三役会議が依頼した協議会理事112人のうち75人が参加(別に委任状が31人)して開会しました。

海外遊説の支出などを報告

 会計報告と予算案の提案は濱住治郎会計が担当。高齢となった被爆者からの会費が減ってきていること、昨年10月の日本原水協のヨーロッパ被爆者遊説に2人の代表を派遣した費用として、「平和基金」から74万円を支出したことを報告。会計監査報告は湊武会計監事が担当しました。
 質疑応答では、「協議会のすべての収入が法人に寄付されていることを、わかりやすく説明してほしい」という意見が出されました。
 予算と決算が承認された後、大岩孝平会長が「会則改正案」を提案。2016年度からブロック割りをやめて、協議会役員は、会長、副会長、会計監事、事務局長、事務局次長とともに、広報・相談事業・実相普及の各委員会の委員長と副委員長で構成することが可決されました。
 任期の定めがない名誉会長や顧問については大岩会長が提案。その他の役員と東友会から日本被団協に送り出す役員については、役員推薦委員会の奥田豊治委員長が別記のとおり提案し、全会一致で承認されました。

会議室前方から、着席し報告を聞いている様子の参加者全体を撮影した写真。
東友会の被爆者運動を真剣に討議する参加者