被爆者・二世の健康診断 2020年度に限り通年で受診できます
5月から6月までは、毎年被爆者と被爆二世の定期健康診断(春期)が実施される時期ですが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関が通常とは違う状態になっているため、「病院で健診を断られた」という電話相談がかなり増えています。緊急態勢にある医療機関のなかには、この時期の健診実施を一時的に中止しているケースがあるからです。
東友会は、4月半ばから東京都と交渉して健診期間の変更を打診。並行して被爆二世の都議会議員がこの点を都に働きかけていたこともあり、5月の連休明けに実施期間の通年化が決まりました。
被爆者と被爆二世で異なる健診の制度
厳密には被爆者の制度と被爆二世の制度・施策は同じではありません。国基準の健康診断についてはとくに差が大きく、実質的に別ものと言ってもいいぐらいです。ただし、東京都は都条例に基づく施策をおこなっているため、他県にはない独自の内容で、被爆者と被爆二世の健康診断をおこなっています。(無料で健康診断を受けられる上限と条件について、被爆者と被爆二世の違いをページ末尾に掲載しました。)
2020年は社会全体が特殊な状況にあるため、東京都はいくつかの特例措置を決めました。
新型コロナウイルス感染症拡大にともなう被爆者・被爆二世の定期健診期間の変更について
通常、被爆者と被爆二世の定期健康診断は、次のように実施期間が決められています。
- 春期:5月1日から6月30日まで
- 秋期:11月1日から12月31日まで
被爆者は、この時期以外(4月1日から翌年の3月15日まで)に、「“希望健診”実施医療機関」として登録している医療機関で「希望健診」を受診することができます。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策により、定期健診の期間に健康診断を受けることができない場合があるため、2020年度に限り東京都は、被爆者と被爆二世の定期健診時期を、通年(2021年3月15日まで)で受けられる措置をとることにしました。
健康診断が受けられる医療機関は、東京都から2020年3月末に送られてきている「健康診断のしおり」(被爆者)、「健康診断のお知らせ」(被爆二世)のリストでご確認ください。
【重要】5、6月の時期以外に定期健診を受けるとき
医療機関に「健診の期間ではない」と断られたときは、この記事を見せてください。あるいは、その医療機関から東京都に問い合わせて、2020年度に限り東京都が期間外も健診に対応していることを確認してもらってください。
東京都被爆者援護担当 電話03-5320-4473
被爆者の場合
被爆者は、年2回(春・秋)の定期健康診断以外に、通年で「希望健診」を2回まで、無料で受けることができます(ただし、年度末の3月16日~31日を除く)。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大と「緊急事態宣言」にともない、定期健康診断の実施期間が2020年度に限り通年になりました。
被爆者は通年で「希望健診」を受けられますが、対応している医療機関が少ないのが実情です。対応してくれる医療機関が多い「定期健診」が期間外に受けられることで、いまの時期に無理して健診を受けなくてもすみます。
被爆二世の場合
被爆二世が無料で受けられるのは、年2回の定期健診しかなく、東京都ではそのうちの1回をがん検診に切り替えて受けることができます。今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、5、6月の時期に健康診断を受けられないケースが出ていることから、東京都は2020年度限りの特例措置として、期間外でも春期(5、6月)の分の健診を受けられることにしました。
医療機関が受け付けてくれれば5、6月でも定期健康診断を受けられますが、この時期の受診を見送って7月以降であっても、医療機関が受け付けてくれれば健康診断を無料で受けられます。とくに、春の定期健診を「がん検診」として受ける予定だった被爆二世は、事前に医療機関と連絡をとって、いつも以上に受診条件のすり合わせをおこなっておくことをお勧めします。
2020年は、これまでにない事態が起こっています。「緊急事態宣言」の解除や緩和が実施されたとしても、すべての医療機関の活動がすぐに平常どおりに戻るとは限りません。そのあたりも念頭に置いて、健康診断の受診時期をご判断ください。ご不明な点があれば、東友会に電話でお問い合わせください。