法廷で争う必要のない行政を
ノーモア・ヒバクシャ東京第2次訴訟控訴審 原爆の非人道性を訴え

 国・厚生労働省の不当な控訴で裁判がつづいているノーモア・ヒバクシャ東京第2次訴訟の原告・山本英典氏に関わる第2回口頭弁論が2017年5月17日午後、東京高裁で開かれました。42人定席の傍聴席は被爆者と支援者で満席。入廷できなかった人も多数いました。
 国側はスライドを使って、山本氏の慢性心不全は安定型狭心症で原爆放射線の影響と無関係だと、1審当時と同じ主張を蒸し返しました。
 これに対し白神優理子弁護士が弁護団を代表して意見陳述に立ち、原爆症認定訴訟14年の歩みと山本氏の現況を述べ、被爆者援護の趣旨にそった判決を求めました。
 白神弁護士は陳述の中で、原爆症認定訴訟では全国的には82%が被爆者の勝利で確定していること、東京のノーモア訴訟では国・厚生労働省の敗訴率は100%だという数字をあげ、国の控訴の不当さをつき、このような不正常・不公正をなくすため、首相と日本被団協が締結した確認書に基づき、「訴訟の場で争う必要のない」行政につながる判決を求めました。

原告の状況と経過

 山本氏は、12歳の時に長崎で被爆。2003年に胃がん、2014年に大腸がんで原爆症と認定されています。慢性心不全についても、2016年6月、同時に提訴した被爆者5氏とともに東京地裁で勝訴しました。
 ノーモア東京第2次訴訟は、もともと11人の原告が提訴しましたが、2013年12月に厚生労働省が「新しい審査の方針」を改定し、一度申請を却下した原告のうち5人を「自庁取消」して認定。東京地裁は、2016年6月に残った6人の原告全員に勝訴判決を出しました。厚生労働省は、5人については控訴を断念、山本氏だけを控訴したものです。
 これは、原爆被害を、狭い範囲でおきた、軽くて短期間に解消する被害であるかのように描き出そうとするものであるとし、山本氏はそんなわずかな被害ではない、50年も70年も続き、子や孫にも影響する残酷で非人道の被害であることを自分の生涯をかけて明らかにしたい、と話していました。

法廷のスケッチ。被爆者側の席、着席している弁護士の前にマイクが置かれている。国側の出席者と裁判官も描かれている。被爆者側の席の上余白に、着席した原告山本さんが描かれている。
満席の傍聴者を背に弁論にのぞむ(スケッチ:石飛公也)

報告集会

 裁判終了後、傍聴者は参議院議員会館に移動して、報告集会が行われました。
 集会では、弁論準備に当たった森孝博弁護士の報告、支援の東京原水協、傍聴した大学生、司法修習生などの発言があり、裁判勝利への確信を深め、勝利判決に向けて頑張ることを決意し合いました。
 次回の弁論は2017年11月1日午後1時30分からになりました。

広い会議室で行われた報告集会の様子。数十人の人が席について報告を聞いている。
今後の審理日程を確認(報告集会)