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知っておきたい放射線の豆知識
放射化学者 佐野博敏

第9回 核分裂と生成物の影響

 ウラン235のような質量数の大きい原子核が核分裂反応を起こす話は第7回で書いたとおりだ。
 核分裂を起こしたウラン235は「核分裂生成物の群」と「2~3個の中性子」に分かれるが、このとき核分裂生成物+中性子の合計質量は分裂前の質量より小さい。その差に相当する質量は、アインシュタインの相対論で、莫大なエネルギーに変わる。この原理を利用したのが原爆だ。
 原爆で発生するエネルギーは高熱・高圧を伴い、破壊力も大きいが、核分裂生成物も高速で飛散する。それらの放射能に加え、高速荷電粒子としての生化学的影響も大きい。
 核分裂生成物の核種は約40種の元素で質量数が66~166の約100種の核種群ができる。すべてがβ線を出し、多くはγ線も放出する。短寿命で非常に強い放射性核種から半減期が数時間以下から数十年以上など多種多様で、指数関数的に減衰する。
 また、核分裂で放出された中性子はそれが当たった非放射性物質を放射性物質に変えるので、そこで生じた誘導放射能の影響も発生する。
 原料のウラン235はα線を出すが、共存するウラン238が中性子を吸収して生ずるプルトニウム239もα線を出すので、これらを摂取すれば内部被曝の恐れもある。
 中性子を吸収して核分裂する核種には、ウラン235(広島型原爆)の他に人工のプルトニウム239(長崎型原爆)やウラン233などがある。