被爆者相談所および法人事務所
〒113-0034 文京区湯島2-4-4平和と労働センター6階
電話 03-5842-5655 ファックス 03-5842-5653
相談電話受付時間
平日 午前10時~午後5時、土曜 午前10時~午後3時

知っておきたい放射線の豆知識 第1回 形あるものは必ず滅す
放射化学者 佐野博敏

 原子核は何個かの中性子と何個かの陽子の集合体で、これらの組み合わせで何種類もの核種が存在する。原子核は、「形あるものは必ず滅す」という仏の教えのように自然の「寿命」があるはずだが、人間の限られた能力や技術の範囲では、原子核が壊れる変化を測定できないものがあり、これらは「非放射性(安定)核種」と呼ばれている。
 自然に壊れる原子核は、その崩壊の際に放出する放射線(αアルファ線、βベータ線、γガンマ線など)を観測でき、その崩壊の平均寿命や半減期がわかる。これが「放射性(不安定)核種」である。
 人間がその崩壊を観測できないほど安定な原子核は、寿命があるにしても、観測不能なほど無限大ということだ。
 測定技術の進歩と科学者の努力によって、非放射性(安定)原子核とされていた元素周期表の83番のビスマス原子核Bi-209も、半減期が1.9×1019年という超長寿命でα崩壊する、という例などが出てくることがある。さらに将来、非放射性と見なされていた核種が無限大に近い半減期をもつ “準安定” 核種として報告されるかも知れない。
 放射性(不安定)原子核の平均寿命を示すには、平均寿命に比例する半減期(平均寿命の0.693倍)がよく用いられる。
 仏の教えはともかく、放射性(不安定)と非放射性(安定)とに大きく区別される自然界の原子核。さらに次回で見てみよう。

新連載「知っておきたい放射線の豆知識」を開始
筆者は放射化学者の佐野博敏さん

 「東友」は、本号から標記の連載を開始します。被爆70年にあたり、原子爆弾の最大の特徴であり、被爆者をいまも苦しめる放射線についての基礎知識を、あらためて紹介していくことにしました。
 筆者は佐野博敏さん。放射化学を専門にする科学者です。
 佐野さんはまた、広島の入市被爆者でもあります。当日は40キロ離れた軍需工場にいたため助かりましたが、母親は爆心地から1キロで被爆、家の下敷きになり重傷を負いました。佐野さんは翌日から母親を探して回り、被爆5日目にようやく再会・救出。毎日母親の看護をしながら広島高等工業から東京大学に進学。東大助手時代に第五福竜丸の「死の灰」の調査にも関わり、その後は放射化学会会長、東京都立大学総長、大妻女子大学長などを歴任しました。
 現在、三鷹・三友会副会長。三友会の新聞発送日には他の役員と一緒に新聞折りもしている気さくな人柄です。