2013年発表の抗議・声明など

声明 ~秘密にされてきた核の世界~ 特定秘密保護法に反対する

2013年12月5日
一般社団法人 東友会(東京都原爆被害者団体協議会)

 1945(昭和20)年8月6日と9日に、ヒロシマとナガサキに原子爆弾が投下された。この年だけで、21万人が死亡、その後も多くの人が亡くなり、68年が経過した今も放射能の影響による健康不安を強いられている原爆被爆者として、国家安全保障会議(日本版NSC)設置と特定秘密保護法の制定は絶対に許すことはできない。
 原爆投下後、アメリカはいち早く「核の機密の流出を防ぐ」と「共産主義の脅威に対抗するため」として、国家安全保障の独立部門を設け、国家安全保障会議(NSC)、中央情報局(CIA)、原子力委員会(AEC)を設置した。アメリカ国民には、宇宙の秘密を解き明かし、都市を丸ごと破壊しつくす原子力の威力と夢の未来が宣伝された。このため、原爆の投下が大戦を終了させ、何十万人ものアメリカ兵と日本人の民間人の命が救われることになったという「八月の神話」を生むことになった。今もアメリカ国民の心に根付かされている。
 ヒロシマ・ナガサキの被爆者は、人類初の核兵器とは全く知らされないなか、多くは、母親、子ども、学生、年寄りの民間人であった。原子野のもと、治療もされず、食べ物も与えられず、ただ、死を見守るしかなく、生き延びたものは、身の回りにいる親戚、知人を頼って生きていくほかなかった。敗戦に伴い進駐した米軍は、プレスコードを発令して、原爆被害の事実を知らせないように報道統制をおこない、全て、マッカーサー司令部の検閲のもとでの報道に限られた。 原爆被害の事実が日本国民に公開されたのは、7年後の1952(昭和27)年であった。米・ソは、原爆から水爆の開発に走り、1954(昭和29)年のビキニ環礁の水爆実験により、マグロ漁船第五福竜丸の乗組員が太平洋の沖で、「死の灰」を浴びることによって死者が出て、被害の大きさが世界に知られることなり、原水爆禁止運動がうねりとなって広がった。被爆者も立ち上がり、運動に支えられてようやく、1957(昭和32)年、原爆医療法が制定され、健康診断や医療給付がされることになった。米国が設置したABCC(原爆傷害調査委員会)は、原爆の効果を調べるためであり、被爆者の苦しみを直視することなく治療はおこなわかったため、たいへん不評をかった。
 防衛、軍事機密を守ることが優先されて、原爆投下後12年間、被爆者は放ったままにされていたのである。この間、多くの被爆者が亡くなっていったが、国はいまだ死没者への償いをおこなっていない。被爆者は先に「集団的自衛権の行使」について反対の声明を出しているが、人類と共存しえない核兵器、非人道的な核兵器を体験した被爆者は、戦争を許さない。核兵器を二度と使うことは許さない。これまで「ふたたび被爆者をつくらせない」と訴えてきた被爆者として、憲法の基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義は生きるうえでの拠り所である。国会図書館には「真理がわれらを自由にする」と掲げられている。真実の情報は知らせなければならない。憲法の基本原理と真っ向から衝突し、国際社会の流れにも逆行し、「知る権利」を侵害する国家安全保障会議の設置および特定秘密保護法の制定に反対であることを声明する。

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アメリカのZマシンによる核実験に抗議する

2013年11月12日

アメリカ合衆国大統領
バラク・H・オバマ 殿

一般社団法人東友会
東京都原爆被害者団体協議会

 貴国は、9月12日に今年2回目のZマシンを使っての核実験をおこなったことを発表しました。

 私たちはこれまでも、核兵器の廃絶を求めて、貴国に繰り返し、核実験の停止を求めてきました。68年前、広島・長崎で、貴国が投下した原爆で、私たちの親、兄弟、親族、友人の多くが残酷な死を遂げました。生き残った被爆者たちも、熱線、爆風、放射線の後遺障害で苦しみながら苦しい生涯を続けています。私たちが味わったこの悲しみ、苦しみを、世界のどこにも、再びつくりだしてはならないと思っています。こうした思いで、私たちは貴国の核実験に反対、抗議してきました。

 先日、国連加盟125カ国が核兵器の非人道性について共同声明を発し、「いかなる状況においても核兵器が2度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益であり、それを保障する唯一の道は核兵器の全面廃絶である」と訴えました。
 貴国はこの共同声明に賛同の署名をしませんでしたが、貴大統領が2009年に演説した「核なき世界」への方向は、この4年間に、着実に歩みをすすめています。
 この流れを後退させるような核兵器実験は、どのような種類の実験であってもやめていただきたいのです。

 私たち被爆者は要求します。

  1. 2000年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議会議で合意した「核兵器保有 国は、保有核兵器の廃絶のため努力する」という約束を実行してください。
  2. いかなる核兵器実験も停止してください。
  3. 核兵器廃絶のための国際条約締結に向けた多国間交渉を直ちに開始してください。

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アメリカの「Zマシン」による核実験に抗議します

アメリカ合衆国大統領
バラク・F・オバマ 殿

2013年 3月14日
東京都原爆被害者団体協議会 第5回理事会
東京都文京区湯島2丁目4番4号
電話03-5842-5655

 米エネルギー省の国家核安全保障局は3月11日、昨年10月から12月に臨界前核実験を補う「Zマシン」とよばれる装置を使った新型の実験を2回おこなったと発表しました。
 あなたが、2010年からすでに8回もこの実験をおこなってきたことに対して、わたしたち東京に住む原爆被爆者は、つよく抗議します。それは、この実験が核兵器の維持と開発につながるからです。
 核兵器のない世界をめざすと発言していたあなたが、「保有する核兵器の安全性と信頼性を維持するため」との理由で、実際には、この実験を定期的にすすめているのです。この行為に対して、わたしたち原爆被爆者は、強い怒りを感じます。
 核実験のニュースを聞くたびに、わたしたちの相談所には、被爆者からの深刻な不安がよせられます。昨年7月から胃、大腸、肺と3種類ものガンが次々に発見された被爆者と、ほぼ同時期に肺ガンが発見された喫煙歴のない61歳と59歳の被爆二世の姉妹からの相談も寄せられています。
 わたしたちは、自分自身の健康への不安とともに、子どもや孫への放射線の影響への不安を抱えて生きていかなければなりません。
 わたしたちにこのような不安を強いてきた核兵器の被害を決して地球上にくり返させないために、わたしたち東京の被爆者は、あなたとあなたの政府に要求します。

  1. あらゆる形での核兵器の開発・研究の計画を、ただちに中止してください。
  2. あなたがプラハで述べた「核兵器を使用した唯一の核保有国としての道義的責任」を果たすために、アメリカ政府として具体的な行動を開始してください。
  3. あなたの在任中に、必ず広島・長崎を訪ね、核兵器被害の実態を知ってください。
  4. あなたの国の人びとに広島・長崎とともに、マーシャル諸島、ネバダ周辺などの被害の実態を広く知らせてください。
  5. 核兵器廃絶に関する国際条約を締結させるための行動を、ただちに開始してください。

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北朝鮮の核実験に抗議し、核兵器の廃棄を求めます
核戦争の生き証人・被爆者の声を聞いてください

2013年2月13日
一般社団法人 東友会
東京都原爆被害者団体協議会

 北朝鮮政府は、2月12日に、3回目の地下核実験をおこなったと発表しました。
 この報道を聞いたとき、私たちの脳裏に、あの広島・長崎の原子野がよみがえりました。そして、私たちのそばで、放射線の後障害に苦しみながら亡くなった人びとの姿を思い出しました。それは「核実験」が、核兵器の使用を前提としているからです。

 北朝鮮には、私たちと同じ広島・長崎の被爆者が現在1000人近く生存していると聞いています。このように多くの被爆者が住む北朝鮮が、なぜ核実験を強行したのかと、言い知れぬ悲しみを覚えています。この被爆者たちの声は政府に届いていないのでしょうか。
 原爆=核兵器が人間にどのような被害をもたらすのか、私たち被爆者は身をもって経験しています。核兵器は人類と共存できません。どんな理由をつけようと、核兵器を開発したり、保有したり、使用することは、正当化できません。
 私たち東京都内に住む原爆被爆者は、人類最初の核戦争によって狂わされた70年近い歳月と、無惨に殺されていった数十万人の原爆死没者たちの命の重みをこめて、北朝鮮政府の暴挙に抗議します。
 同時に北朝鮮政府が、国内に住む「核戦争の生き証人」である原爆被爆者の被害の実態をしっかりと掌握し、その声と願いをくみとるよう要請します。

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