2004年発表の抗議・声明など

アメリカの臨界前核実験に抗議します

2004年5月26日
アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ 閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 藤平 典

 貴国は5月26日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、通算21回目の臨界前核実験を強行しました。実験理由について貴国政府は、これまでどおり「保有核兵器の安全性、信頼性を確保するため」としています。
 私たち広島・長崎の原爆被爆者は、貴国が同じ口実で臨界前核実験をするたびに、「核兵器の安全性の確保は、核兵器使用を前提にするものだ」として、抗議してきました。しかし、この願いを無視してあなたがまたも核実験を強行したことに、腹の底からの怒りを込めて抗議します。
 しかも今度の臨界前核実験は、核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議準備会で、核兵器にたいする懸念が、広島・長崎両市長をはじめ世界各国代表から出され、廃絶に向けての真剣な取り組みが強調された同じ月に、各国の努力をあざ笑うようにおこなわれました。
 貴国が、小型核兵器の開発と、先制核攻撃戦略を進めているときだけに、臨界前核実験の繰り返しは、新たな核戦略を推し進めるものとしか考えられません。
 いま全国で、原爆症の認定を求める集団訴訟がおきていますが、この原爆症を引き起こしたのも、貴国が59年前に広島・長崎に投下した原爆によるものです。原告の多くは、70歳をすぎ、ガンや甲状腺、肝臓の病気に苦しんでいます。
 人生の終わりに立つ原告たちが、裁判によって、国がおこなった原爆症認定却下処分の取り消しを求めているのは、みずからの体と被爆の傷をさらすことによって、いまもつづく核兵器の被害を知らせ、核兵器廃絶の力になりたいという切なる思いによるものです。そして、「核兵器が存在する以上、このままでは死ねない」「原子野で殺されていった死没者に合わせる顔がない」という、あの「地獄」を知るからこそ思う被爆者の痛切な願いからです。
 私たちは、人類の未来のために、あなたに要求します。

  1. すべての臨界前核実験を、ただちにやめてください。
  2. 核兵器の開発、地下核実験の再開など、核兵器使用につながる核兵器戦略計画を中止してください。
  3. 核兵器廃絶の約束を実行し、核兵器廃絶のための国際条約締結のための行動を開始してください。
  4. あなたの国の人びとに広島・長崎の被害の実態を広く知らせてください。

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【声明】 石破防衛庁長官の原爆被害軽視発言に抗議する

2004年5月17日
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)

 石破防衛庁長官。あなたは、2004年4月22日の衆議院・武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会で民主党の大出彰議員の質問に対して、広島・長崎の「爆心地近くありながら落命をされずに生き残った方がたくさんおられる」「どういう状況であれば、核攻撃を万々が一受けても被害が局限できるか」「それによって多くの人命を救うことができる」「国民保護法制とは、まさしくそれを眼目とするものだと思っている」と発言されました。
 私たち、東京に住む原爆被爆者は、深い悲しみと怒りを込めて、この暴言に抗議します。
 広島・長崎の原爆被害がどんなに無惨であったか、私たちはいまでも夢でうなされるほどです。体験者でなくとも、見渡す限りの廃墟と化した被爆写真を見るだけでも、その凄惨さは、誰でもわかることです。あの一面の廃墟の中で、何万人もの人が殺されたのです。仮に生き残った人がいたとしても、それは全くの偶然によるものであったでしょう。その人たちが、その後に強いられた原爆後障害の重さを考えると、被害を「局限」するすべなど、考えられないことです。
 石破長官。あなたは、一度でも広島・長崎の原子野の写真を見たことがあるのでしょうか。人間の目で人間の心で核兵器の被害を感じようとしたことがあるのでしょうか。
 原爆によって何万人殺されても、数人が生き残ればいい、それが国民保護法案の眼目だというあなたの考えからは、「人の命は地球より重い」という人命尊重の考えは全く感じられません。人が殺され、傷つく前に、そのような事態を招かないようにするのが、日本国憲法の立場であり、日本の政治のあるべき道なのではないでしょうか。
 長官は、核戦争の恐ろしさを考えたことも、核戦争を起こしてはならないということも考えたことがないのではないでしょうか。
 核戦争には生き残りはないのです。核兵器で人間の生命と地球の環境を守ることなどできないのです。核兵器は人類と絶対に共存できない兵器なのです。
 長官は、核兵器被害から生き残る方法を考える前に、核兵器廃絶を考えるよう要求します。それができないような防衛庁長官なら、国民の生命・財産を守る資格はありません。即刻閣僚を辞任するよう要求します。

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