2002年発表の抗議・声明など

アメリカの相継ぐ臨界前核実験に抗議します

2002年9月27日
アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 田川 時彦

 ブッシュ大統領。あなたは、8月30日(日本時間)に続いて、9月27日(日本時間)に、またもネバダ核実験場で「ロッコ」と呼ばれる臨界前核実験を強行しました。
 私たち原爆被爆者は、あなたが19回もの臨界前核実験を続けていることに、深い悲しみと怒りを込めて抗議します。
 あなたは、今回の核実験の目的を、8月の臨界前核実験「マリオ」同様、「貯蔵している核兵器の信頼性と安全性を維持するための、科学的データと技術情報を収集するため」と説明しています。
 しかし、相継ぐあなたの核実験は、「核兵器による脅し」の範囲を超え、「使用」を視野に入れた、実戦を想定しているといわざるをえません。
 あなたの国が投下した原子爆弾による苦しみは、57年が過ぎたいまも、薄れるどころか、ますます深まっています。
 9月4日、東京・調布市に住む被爆者が、日本の厚生労働省に出した「原爆症」認定申請を却下されました。
 この被爆者は、当時13歳。原爆投下当日の夕方から8日間、長崎市内で家族を捜索しました。そして8年前に食道ガンにかかり手術を受け、今年8月には肝細胞ガンが発見され、手術をうけました。
 肝炎ウイルスには感染していないこの被爆者の肝臓ガンについて主治医は、「被爆により影響を受けた可能性は十分にある」と診断しています。
 後から長崎市に入っただけなのに、この被爆者は歯茎からの出血や頭髪が抜けるという急性症状に襲われました。
 そして、多くの被爆者と同様に、無惨に変わり果てて亡くなった父親や長崎市内の人びとの姿に、そして自分や子ども、孫への原爆放射線後障害の影響の恐怖に、苦しみ続けてきました。
 私たち被爆者は、こんな苦しみを、決して誰にも味わわせたくありません。だからこそ、だからこそ、核兵器存在を、絶対に認めることはできません。核兵器の使用はもちろん、核兵器による威嚇も、いかなる目的、どんな理由があっても正当化することはできません。
 私たちは、人類と地球の未来のために、原爆によって殺された40万人を超える人びとの命の重みを背負って、あなたとあなたの国に要求します。

  1. 臨界前核実験計画を白紙に戻すとともに、すべての核実験を永遠に中止してください。
  2. 「核態勢見直し」政策を撤回し、2000年5月NPT再検討会議での「自国の核兵器の完全な廃絶を達成するという明白な約束」を実行に移してください。
  3. 核兵器廃絶のための国際条約締結のための交渉をただちに開始してください。
  4. 核兵器の被害の実相を、アメリカ国民に広く知らせてください。

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臨界前核実験に抗議します

2002年8月30日
アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 田川 時彦

 多くの人びとが犠牲になった昨年の同時多発テロから間もなく1年になろうとしています。私たち原爆被爆者は、同時多発テロに深い怒りを感じるとともに、犠牲になられた方がたの無念の思いと、ご遺族の方がたの深い悲しみを共感しながら、いま、この場に立っています。
 ブッシュ大統領。しかし私たちは、あなたが唱える「報復」には同意することはできません。
 核戦争の被害を体験しているからこそ私たちは、「ふたたび広島・長崎を繰り返させるな」をスローガンに、「報復」ではなく、核戦争の惨禍を決して誰にも味あわせたくないと世界に訴えてきました。
 あなたが国際社会の願いを無視して、イラクなど、ならず者国家と決めつけている国に対して「核兵器の先制攻撃を辞さない」という独断的態度をとっていることについて、心を痛めています。
 あなたが強行した18回目の臨界前核実験は、もはや「核兵器による脅し」の範囲を超え、「使用」を視野に入れた、実戦を想定しているとも考えられる暴挙です。
 昨日、私たちの相談所は、こんな相談が寄せられました。広島の爆心地から4キロの地点で被爆し、その後2ヶ月間、広島市内で復旧作業に従事した兵士だった被爆者が、12年前に結腸ガン、2年前に食道ガンに冒されたうえに、今年又咽頭ガンにかかったのです。
 「今度はどこにガンがでるのだろう。今度はきっと助からない。そんな思いでずっと暮らしています。もうたくさんです」。
 こう語る被爆者の主治医は、これだけ多い種類のガンが一人の人にでたということは、原爆放射線の影響が充分考えられると診断しています。
 私たち原爆被爆者は、人生の大半にもあたる57年もの年月を、こんなに苦しめられてきました。
 同時に、あのキノコ雲の下で殺されていった人びとの姿を目の当たりにした私たちは、核兵器の使用はもちろん、その存在すらも許すことはできません。いかなる目的、どんな理由があっても正当化できないものです。
 私たちは、人類と地球の未来のために、原爆によって殺された40万人を超える人びとの命の重みを背負って、あなたとあなたの国に要求します。

  1. 臨界前核実験計画を白紙に戻すとともに、すべての核実験を永遠に中止してください。
  2. 「核態勢見直し」政策を撤回し、2000年5月NPT再検討会議での「自国の核兵器の完全な廃絶を達成するという明白な約束」を実行に移してください。
  3. 核兵器廃絶のための国際条約締結のための交渉をただちに開始してください。
  4. 核兵器の被害の実相を、アメリカ国民に広く知らせてください。

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臨界前核実験計画をただちに中止してください

2002年6月6日
アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 田川 時彦

 私たち原爆被爆者は、あなたが今年1月、「核戦略態勢の見直し」計画をたて、新型の小型核兵器の開発をはかり、7カ国を対象に核攻撃の策定さえ指示している、2004年までに地下核実験を再開する準備をはじめた、と報じられたことに、つよい怒りと不安を覚えています。
 あなたの発言に対して、ニューヨーク・タイムズすらも、「米国自身が核を持ったならず者」と、社説で述べているように、これは従来の核抑止政策どころか、核兵器の実戦使用の政策にまで転換しようとするものです。
 あなたは、「オーボエ9」と名付けた通算17回目の臨界前核実験を5日におこなうと発表、その直後に「技術的問題」のため延期しました。
 この実験は、「プルトニウムの物質的な特性に関して」調査をするものだとされていますが、核兵器の専門家は、地下貫通型の核兵器の「効果」を高めるための実験だと分析しています。そして、延期は「中止」ではありません。単なる「延期」です。
 私たちの住む東京で、近年、放射線の影響が少ないといわれる「入市被爆者」や「遠距離被爆者」が、いくつもの別々に発生したガンに苦しめられています。

  • 原爆投下後9時間後、長崎に救援列車を運転して入った、当時20歳の機関士が胃ガンと前立腺ガンにかかる
  • 原爆投下翌日に広島市内に入った当時14歳の中学生が直腸ガンと胃ガンにかかる
  • 長崎の爆心地から3.5キロで被爆し、その日のうちに1.5キロのところまで近づいた当時16歳の工員が大腸ガンと別々の2種類の胃ガンという3種類のガンにかかる

 人生の大半にあたる57年もの年月を、原爆後障害の恐怖に苦しめられたうえに、多くの被爆者が現実に、いまも、こんなに苦しめられているのです。
 同時に、あのキノコ雲の下で殺されていった人びとの姿を目の当たりにした私たちは、核兵器の使用はもちろん、その存在すらも許すことはできません。いかなる目的、どんな理由があっても正当化できないものです。
 私たちは、人類と地球の未来のために、原爆によって殺された40万人を超える人びとの命の重みを背負って、あなたとあなたの国に要求します。

  1. 臨界前核実験計画を白紙に戻し、永遠に中止してください。
  2. 「核態勢見直し」政策を撤回し、2000年5月NPT再検討会議での「自国の核兵器の完全な廃絶を達成するという明白な約束」を実行に移してください。
  3. 核兵器廃絶のための国際条約締結のための交渉をただちに開始してください。
  4. 核兵器の被害の実相を、アメリカ国民に広く知らせてください。

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米英共同の臨界前核実験に抗議します

2002年2月15日
アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 田川 時彦

 貴国は2月15日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、通算16回目の臨界前核実験を、イギリスと共同で強行しました。「ビト」とよばれる今度の核実験が、イギリスを巻き込むところまで規模を広げたことに、これまでとは違ういっそうの危険を感じるものです。
 これまでも、貴国が臨界前核実験をするたびに抗議してきた私たちは、原爆被爆者の願いを無視して、規模を広げておこなわれた今回の核実験に、腹の底からの怒りを込めて抗議します。
 貴国が57年前に、広島・長崎に投下した原爆で、被爆者は、からだとこころに深い傷をうけ、今も苦しんでいます。放射線によっておきた病気を「原爆症」と認定させるための裁判が東京と札幌でつづいており、これからはさらに多くの人びとによって原爆症認定の裁判が起きようとしています。
 核兵器が人間の上に使われたらどんなことになるか、57年経ってもなお放射線被害で苦しみ続けている原爆被爆者の姿を見れば明らかです
 だから私たちは、人類の未来のために、核兵器の使用につながるあらゆる種類の実験に反対し、核兵器を廃絶するよう要求しているのです。
 しかし貴国は、CTBT(包括的核実験禁止条約)を死文化する方針をすすめ、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約からの脱退を一方的に通告し、今年になって地下核実験の再開・小型核兵器の開発計画がつたえられるなど、核兵器廃絶と平和を求める私たちの願いと国際世論に背を向けています。
2000年5月、NPT(核拡散防止条約)再検討会議で、貴国を含めて合意した「核兵器廃絶」の約束を実行し、一日も早く核兵器廃絶の国際条約を締結するよう要求します。
私たちは、抗議の思いを込めて要求します。

  1. すぺての臨界前核実験をやめてください。
  2. CTBTを批准し、核兵器の開発、地下核実験の再開など、核兵器使用につながる核兵器戦略計画を中止してください。
  3. 核兵器廃絶の約束を実行し、核兵器廃絶のための国際条約締結のための行動を開始してください。

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米英共同の臨界前核実験に抗議します

2002年2月15日
イギリス首相 トニー・ブレア閣下
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
会長 田川 時彦

 貴国は2月15日未明(日本時間)、ネバダ核実験場の地下で、臨界前核実験を、アメリカと共同で強行しました。「ビト」とよばれる今度の核実験が、貴国を巻き込んで、規模を広げておこなわれたことに、私たち原爆被爆者は大きな危険を感じるものです。
 私たちはこれまでも、アメリカが臨界前核実験をするたびに抗議してきました。原爆被爆者の願いを聞くどころか、これを無視して、核武装をいっそうすすめる臨界前核実験を貴国がアメリカとともにおこなったことに、腹の底からの怒りを込めて抗議します。
 アメリカが57年前に、広島・長崎に投下した原爆で、被爆者は、からだとこころに深い傷をうけ、今も苦しんでいます。放射線によっておきた病気を「原爆症」と認定させるための裁判が東京と札幌でつづいており、これからはさらに多くの人びとによって原爆症認定の裁判が起きようとしています。
 核兵器が人間の上に使われたらどんなことになるか、57年経ってもなお放射線被害で苦しみ続けている原爆被爆者の姿を見れば明らかです。
 だから私たちは、人類の未来のために、核兵器の使用につながるあらゆる種類の実験に反対し、核兵器を廃絶するよう要求しているのです。
 しかしアメリカは、CTBT(包括的核実験禁止条約)を死文化する方針をすすめ、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約からの脱退を一方的に通告し、今年になって地下核実験の再開・小型核兵器の開発計画がつたえられるなど、核兵器廃絶と平和を求める私たちの願いと国際世論に背を向けています。
 貴国が、こうしたアメリカの核戦略に同意することなく、2000年5月、NPT(核拡散防止条約)再検討会議で、貴国を含めてなされたr核兵器廃絶」の約束を実行し、一日も早く核兵器廃絶の国際条約を締結するよう要求します。

 私たちは、抗議の思いを込めて要求します。

  1. すべての臨界前核実験をやめてください。
  2. 核兵器廃絶の約束を実行し、核兵器廃絶のための国際条約締結約のための行動を開始してください

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