被爆者の「介護手当」 2種類の介護手当の違いに注意
介護の相談の増加にともない、「介護手当」への関心も増えていますが、2種類の「介護手当」の違いが分かりにくいという質問があるため、今回はそこに焦点を当てます。
共通点
「介護手当」は、被爆者が在宅で介護を受けるようになり、介護の状態が定められた基準にあると認められたときに受けられます。「介護手当」は「被爆者の制度」で決められたもので、介護保険制度によるものではありません。
「介護手当」は2種類あり、条件によってどちらか一方だけを受けられます。2つの「介護手当」を同時に受けることはできません。
病院に入院していたり、介護施設に入所している場合は、どちらの「介護手当」も受けられません。
認定されると、申請書を提出した月の初日からの費用が「介護手当」の支給対象となります。
一般(他人)介護手当
名前のとおり最も一般的な「介護手当」です。性格的には「手当」というより「還付請求」(払い戻し)です。別表の受給条件にあって、実際におこなった介護の費用に応じて、かかった額が支給されます。限度額(上限)というのは、それ以上の額は支給されないということです。
例えば、1カ月に20日間の介護をおこない、8万円の介護費用がかったときは、その8万円が支給されます。一方、16万円の介護費用がかかったとしても、限度額までしか支給されません。
家族介護手当
同居(住民票上の同一世帯)の家族だけから介護を受けていて、介護の状態が定められた基準にあると認められたとき申請できる手当です
「介護手当」について、東京都では国の基準に対して独自の追加措置を実施しており、支給額などが他県より多くなっています。
介護については、ここで紹介した他にも心得ておくべき事柄があります。東友会までご相談ください。
家族介護手当 | 一般(他人)介護手当 | |
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受給条件 | 被爆者が在宅で、住民票で同居となっている家族だけから介護を受けていて(どこにも介護費用を支払っておらず)、手当の基準にある場合。 | 被爆者が在宅で、ヘルパーなどの介護サービスや別居の家族・親戚に、介護費用を払って介護を受けていて、手当の基準にある場合。 |
手当額(月額) |
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手当の性格 | 毎月定額の手当。 | かかった介護費用を限度額まで助成する手当。 性格的には、限度額のある「還付請求」(払い戻し)。 |
支給方法 | 「家族介護手当」が認められたら、とくに何もしなくても毎月指定の口座に東京都から振り込まれる。 | かかった介護費用を月ごとに計算した請求を東京都に提出すると、限度額を上限にして指定の口座に東京都から振り込まれる。 つまり、人によって、月によって支給される金額は変わる。 |
利点 | 毎月の書類提出は必要なし。 | 実際にかかった介護費用が助成されるので、経済的な負担の軽減になる。 |
弱点 | 金額が固定。 | 計算した請求書類を提出する手間がかかる。 |
その他 | ヘルパーなど費用のかかるサービスを使うようになると、「一般(他人)介護手当」に切り替えが必要。 | 必ずしも毎月請求する必要はなく、一定の期間遅れて請求を出してもかまわない。ただし支給も遅れる。 |
注意点 |
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