広島の「黒い雨体験者」 2022年4月から申請受付始まる
2022年4月から広島の「黒い雨体験者」の申請受付が始まりました。いまの時点で明らかになっていることを説明します。
「黒い雨体験者」とは
「黒い雨」の放射線の影響について国は「第1種特例受診者」の制度を設けていますが、その範囲はとても狭いため、「黒い雨」による被害をもっと広く認めるよう求めた裁判が争われ、2021年7月の広島高裁判決によって国が敗訴しました。これにより、広島原爆による「黒い雨」で被害に遭ったと認められる範囲を広げることになり、この新たな条件に該当する人が被爆者の「健康管理手当」に該当する疾病にかかったとき、被爆者健康手帳が交付されることになりました。これが広島の「黒い雨体験者」の制度です。
「黒い雨体験者」として「被爆者健康手帳」が認められる条件は、 「被爆者健康手帳」または「第一種健康診断受診者証」の交付を受けておらず、広島での原爆投下後「黒い雨」が降ったとき、広島市が指定を求めている地域で「黒い雨」に遭ったことが認められた人です。
【注】現時点で、「第1種特例受診者」のように具体的に国が定めた地域は確定していません。加えて、長崎は対象外です。
申請に必要な書類
- 被爆者健康手帳交付申請書
- 「黒い雨」にあった事実に関する書類
- 例:居住地や通学先・勤務先のわかるもの、当時の住民票、当時の学校の在学証明書や勤務先の在職証明書
- 上記がない場合は、親族以外の2人の証明書
- 被爆後ABCCで検査された人は、その証明書を居住証明書に代えることができます。このような人は、申し込み方法をお知らせしますので、ご一報ください。
- 健康管理手当申請書・診断書
被爆者の「健康管理手当」が認められる11種の障害をともなう疾病(下記)にかかり、治療や経過観察を受けていることです。
ただし、病気の原因が原爆と明らかに関係ない場合:(1)遺伝や生まれつき、(2)伝染病・寄生虫病、(3)事故・中毒などでは申請できません。
健康管理手当が受けられる疾病
- 造血機能障害
- 血小板減少症・白血球減少症・鉄欠乏性貧血など
- 肝臓機能障害
- アルコール性、ウイルス性を除く肝炎・肝硬変など
- 細胞増殖機能障害
- すべての部位の悪性腫瘍・ガン・白血病
- 内分泌腺機能障害
- 糖尿病・甲状腺機能異常など
- 脳血管障害
- 脳出血・くも膜下出血・脳硬塞など
- 循環器機能障害
- 高血圧性心疾患・狭心症・心筋硬塞など
- 腎臓機能障害
- 慢性腎炎・ネフローゼなど
- 水晶体混濁による視機能障害
- 先天性・糖尿病性を除く白内障のみ
- 呼吸器機能障害
- 肺気腫・肺線維症など
- 運動器機能障害
- 変形性脊椎症・変形性関節症など
- 潰瘍による消化器機能障害
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎など
【注】白内障で過去に手術を受けたことがある人は、健康管理手当の支給は受けられませんが、被爆者手帳の交付は認められます。
「健康管理手当」に該当する病気の診察を受けて診断書を書いてもらう時点では、被爆者のように医療費の自己負担分が助成されません。
急きょ設けられた新しい制度なので不十分なこともあると思います。申請にあたって不明な点があれば、東友会までお問い合わせください。