被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定制度 現状を変えるためにも積極的に申請を

認定審査の現状

 厚生労働省は、四半期毎にウェブ上に「原爆症認定申請に係る結果について」と題する審査結果を公表しています。掲載内容は、(1)被爆状況、(2)疾病名、(3)認定または却下の結果、(4)その年月日、(5)却下の場合の理由の5項目です。
 2018(平成30)年度の事例を整理してみると、申請数1121件に対して認定病名の重複を除いた認定件数は776件でした。疾病による比較では、がんや白血病などでの認定が732件。心筋梗塞・急性冠候群や甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症などの非がん疾患のみでの認定は35件、全体の認定数に対して4.5%でした。2018年度は白内障と肝臓がんをともなわない慢性肝炎・肝硬変の認定はゼロでした。
 被爆条件については、厚労省の「新しい審査の方針」で「積極認定」とされる被爆距離や入市時期・入市距離を超えて認定されているのは15件、認定数に対して2%にも満たない状況でした。「積極認定」の範囲をこえる「総合認定」の結果について、厚労省に具体的な説明を要請してきましたが、「個別の事例については話せない」の一点張りです。
 一方で、2018年10月に脳出血で申請した1キロ直爆の被爆者が認定されています。1.5キロ以内など近距離で直接被爆した場合は、脳梗塞や脳出血など「積極認定」の指定病名でない病気でも認定される場合があります。東友会では、被爆距離によってはがん以外の病気でも積極的に原爆症認定申請に挑んでくださるようお願いしています。

認定の要件は2つ

 原爆症認定の要件は、「放射線起因性」と「要医療性」の2つです。その内容を別表にまとめました。
 この2つの要件が認められたとき、「原爆症」と認定されます。認定された病気の医療費は健康保険の給付を使わず全額国が負担し、合わせて毎月14万円余の「医療特別手当」が支給されます。

原爆症の認定と継続のための2つの要件

  1. 「放射線起因性」は、その疾病の原因が原爆放射線によるものであると考えられること。
  2. 「要医療性」は、その疾病が現に医療を必要とする状態にあること。

 この2つを満たすことが求められます。

1.「放射線起因性」の要件
指定病名 被爆条件
  • 悪性腫瘍(固形がん:胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんなど)
  • 白血病(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫など)
  • 副甲状腺機能亢進症
  1. 被爆地点が爆心地より約3.5キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2キロメートル以内に入市した者
  3. 原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2キロメートルの地点に1週間程度以上滞在した者
  • 心筋梗塞
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性肝炎・肝硬変
  1. 被爆地点が爆心地より約2.0キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より翌日までに爆心地から約1.0キロメートル内に入市した者
  • 放射線白内障(加齢性白内障は除く)
  1. 被爆地点が爆心地より約1.5キロメートル以内である者

「放射線起因性」の注意点

 厚労省の審査の現状では、基準になる被爆距離や入市の期間を超えた場合の申請は、ほとんど機械的に却下されています。
 被爆距離は被爆者手帳に書かれた内容が基準になりますが、入市した事実が書かれていなかったり、間違った距離が書かれていることがあります。そのため、事前に被爆状況の変更申請を出して原爆症の認定申請をする被爆者もいます。

2.「要医療性」の要件
指定病名 要件
  • 悪性腫瘍(固形がん:胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんなど)
  • 白血病(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫など)
 手術、制がん剤、放射線療法やホルモン療法が終わった後、ほぼ5年以内。
 乳がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、肝臓がんなどは、10年以内でも認定される場合があります。
  • 副甲状腺機能亢進症
  • 心筋梗塞
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性肝炎・肝硬変
定期的に医師の診断を受けて治療を続けているあいだ。
  • 放射線白内障(加齢性白内障は除く)
手術を予定していて、手術前の場合。

「要医療性」の注意点

 申請する病気やケロイドなどが、申請時に「医学的管理が必要」な状態にあるか、治癒能力が放射線の影響を受けている場合とされています。
 とくにがんの場合は注意してください。医師による経過観察が続いていても、がんが再発していなければ、5年または10年で更新できなくなります。ファイバーで切除した胃がんの申請で、手術から1年以上過ぎていたため「要医療性」が認められず却下された事例もありました。
 放射線白内障は、手術だけが治療とされ、手術を予定していて手術前であることが条件とされています。

医師の判断も重要

 原爆症認定申請には、次の書類が必要です。

  1. 「認定申請書」と原爆が病気などの原因になっていることを証明する申請者の陳述
  2. 「意見書」(医師記入)
  3. 申請する病気の証明になる検査結果報告票のコピー
 とくに、医師の意見書や検査結果のデータなどは「要医療性」の審査に影響します。
 これらの提出先は都道府県(広島市・長崎市)ですが、そこから申請者の被爆者手帳申請時の書類のコピーを添付して厚労省に送られます。そのため、審査結果が出るまで3カ月から半年程度かかることがあります。認定されると申請した月の翌月に遡って医療特別手当が支給されます。