介護保険制度と被爆者の制度 制度の違いをふまえて有効に活用を

 「介護保険制度」は、40歳以上の国民が強制加入する国の制度です。被爆者についても例外はありません。介護保険料も、被爆者だからという理由では免除されません。

「40歳以上の日本国民全体」を示す円の中に、「被爆者」を示すより小さい円を描いた図
 介護保険制度は、被爆者も含んだ日本国民(40歳以上)が対象です。原則的には、被爆者も日本国民のひとりとして介護保険に加入し、制度を利用することになります。

 「被爆者の制度」は、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」によって定められた国の制度です。被爆者が「介護保険制度」を利用するとき、この「被爆者の制度」によって介護サービス利用料の自己負担分が助成されるものがあるため、利用料が無料になるものがあります。

「介護保険制度」と「被爆者の制度」の基本的な関係
介護保険制度の介護サービスのうち、被爆者も自己負担があるものと被爆者の制度で自己負担がなくなるものがあること、介護保険外の自費サービスは被爆者も全額負担であること、介護保険制度とは別に、被爆者の制度には「介護手当」があることを視覚的に表したもの

介護サービスの申請

 介護が必要になったとき、被爆者も区市町村役場に申請して、「要介護度」の認定を受けなければなりません。
この段階は「介護保険制度」の手続きです。「被爆者の制度」で助成や特例扱いされるような事柄はありません。

受けられるサービス

 認定された「要介護度」に応じて、各種サービスを受けることになります。
 「要介護1」から「要介護5」に認定された人は、「介護サービス」が受けられます。ケアマネージャーにケアプランを作ってもらい、施設や事業所と契約します。
 「要支援1」か「要支援2」に認定された人は、「介護予防サービス」が受けられます。「地域包括支援センター」に連絡し、介護予防のケアプランを作ってもらい、施設や事業所と契約します。
 このとき、ケアマネージャーや介護施設の人に「被爆者手帳」を見せ、介護を受けるのが被爆者であることを示してください。「被爆者の制度」をふまえたサービス利用が進めやすくなります。

利用料の一部が無料に

 「介護保険制度」では、介護サービスを使ったとき、利用料の1割または2割分を自己負担する(利用者が支払う)ことになっています。
 自己負担が1割か2割かは所得で決まり、住んでいる自治体から通知されます。
 介護サービスには、大きく分けて「医療系サービス」「福祉系サービス」「地域密着型サービス」の3つがあります。各サービスにおける被爆者の自己負担の有無を、表にまとめました。

医療系サービス
サービス名 被爆者の自己負担有無
訪問看護

なし(無料)

介護保険の自己負担分(1割または2割)は被爆者の制度で助成されます。
被爆者手帳が使える施設では、手帳を見せれば支払う必要はありません。
ただし、被爆者手帳が使えない施設では、いったん支払ってから東京都に申請して払い戻しを受けます。

訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケア)
居宅療養管理指導
短期入所療養介護(ショートステイ)
介護老人保健施設入所(老健)
介護療養型医療施設入所
福祉系サービス
サービス名 被爆者の自己負担有無
通所介護(デイサービス)

なし(無料)

介護保険の自己負担分(1割または2割)は被爆者の制度で助成されます。
東京の被爆者が他府県の施設を使った場合、いったん支払ってから東京都に申請して払い戻しを受けます。

短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設入所
(特別養護老人ホーム=特養)
訪問入浴介護
認知症対応型生活共同介護
(グループホーム)

あり (有料)

被爆者の制度では助成されないサービスです。
被爆者も自己負担分(1割または2割)を支払う必要があります。

特定施設入所者生活介護
居宅介護福祉用具貸与・購入費
居宅介護住宅改修費
訪問介護(ホームヘルプ)

基本的に あり (有料)

ただし、所得税非課税世帯は、手続きをすると自己負担分が免除されます。(低所得者援助として)

地域密着型サービス
サービス名 被爆者の自己負担有無
認知症対応型通所介護

なし  (無料)

介護保険の自己負担分(1割または2割)は被爆者の制度で助成されます。
東京の被爆者が他府県の施設を使った場合、いったん支払ってから東京都に申請して払い戻しを受けます。

小規模多機能型居宅介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
複合型サービス
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
夜間対応型訪問介護

あり (有料)

被爆者の制度では助成されないサービスです。
被爆者も自己負担分(1割または2割)を支払う必要があります。

認知症対応型共同生活介護
地域密着型介護特定施設入所者生活介護

【注】食事代、居住・滞在費(室料、水道光熱費)、日用品費、汚物処理代など、介護保険の対象外の費用はすべて、被爆者も自己負担が必要です。

被爆者の制度を伝える

 被爆者本人は「被爆者の制度」をよく知っていても、家族や周囲の人は知らないことがあります。普段から家族・知人に伝えておきましょう。
 本記事では詳しく触れませんが、「被爆者の制度」には、在宅での介護を条件にした「介護手当」があります。

 「介護保険制度」の中で「被爆者の制度」を使うため、ケアマネージャーのような専門家でも分かりにくい点があろうかと思います。家族や介護関係者の方も、お気軽に東友会までご相談ください。