原爆症認定制度 特定の病気(がんなど)の人は積極的に申請を

 2017年3月末に東京都福祉保健局が「健康診断のしおり」と一緒に被爆者に郵送した「東友会の案内」の裏には、「がんにかかった人は、原爆症認定=医療特別手当の申請を」のタイトルで原爆症認定制度の簡単な紹介を載せました。その後13人が、東友会を通じて認定申請をしています。

認定の要件は2つ

 第1は「放射線起因性」。申請する病気が原爆の影響によるものと厚労省に認めさせなければなりません。「放射線起因性」の審査で「積極認定」とされる被爆状況と病名の条件は下に掲載した表をご覧ください。
 審査の現状では、基準になる被爆距離や入市した日が超えた場合の申請は、ほとんど機械的に却下されています。このため、事前に被爆状況の変更申請を出して原爆症の認定申請をする被爆者もみられます。
 第2は「要医療性」です。これは、申請する病気やケロイドなどが申請時に「医学的管理が必要」な状態にあるか、治癒能力が放射線の影響を受けている場合と限定されています。「要医療性」の要件は別表をご覧ください。具体的には、申請する病気の治療や医学的管理が続いている場合のみとされています。
 心筋梗塞や肝機能障害などは生涯治療が必要ですから、「要医療性」の要件は満たされています。しかし、がんの場合は医師による経過観察が続いていても、がんが再発していない場合は、がんの種類によって5年または10年とされています。ファイバーで切除した胃がんの申請で、手術から1年以上過ぎていたため「要医療性」が認められず却下された事例もありました。
 放射線白内障は、手術だけが治療とされ、手術を予定していて手術前であることが条件とされています。
 この2つの要件が認められたとき、申請した病気が原爆症と認定され、医療特別手当が支給されます。

原爆症の認定と継続のための2つの要件

  1. 「放射線起因性」は、その疾病の原因が原爆放射線によるものであると考えられること。
  2. 「要医療性」は、その疾病が現に医療を必要とする状態にあること。

 この2つを満たすことが求められます。

1.「放射線起因性」の要件
指定病名 被爆条件
  • 悪性腫瘍(固形がん:胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんなど)
  • 白血病(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫など)
  • 副甲状腺機能亢進症
  1. 被爆地点が爆心地より約3.5キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2キロメートル以内に入市した者
  3. 原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2キロメートルの地点に1週間程度以上滞在した者
  • 心筋梗塞
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性肝炎・肝硬変
  1. 被爆地点が爆心地より約2.0キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より翌日までに爆心地から約1.0キロメートル内に入市した者
  • 放射線白内障(加齢性白内障は除く)
  1. 被爆地点が爆心地より約1.5キロメートル以内である者
2.「要医療性」の要件
指定病名 要件
  • 悪性腫瘍(固形がん:胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんなど)
  • 白血病(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫など)
 手術、制がん剤、放射線療法やホルモン療法が終わった後、ほぼ5年以内。
 乳がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、肝臓がんなどは、10年以内でも認定される場合があります。
  • 副甲状腺機能亢進症
  • 心筋梗塞
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性肝炎・肝硬変
定期的に医師の診断を受けて治療を続けているあいだ。
  • 放射線白内障(加齢性白内障は除く)
手術を予定していて、手術前の場合。

医師の判断も重要

 原爆症認定申請には、

  1. 「認定申請書」と原爆が病気などの原因になっていることを証明する申請者の陳述
  2. 「意見書」(医師記入)
  3. 申請する病気の証明になる検査結果報告票のコピー
  4. などが必要です。
 「原爆症」と認定されると認定された病気の医療費は健康保険の給付を使わず全額国が負担し、さらに医療特別手当が支給されます。このため申請の際には原爆症の「認定書」と「医療特別手当認定申請書」を同時に提出します。
 この審査は、東京都が受け付けた後、申請者が被爆者手帳を申請した際の申請書のコピーをつけて厚労省に送るため、審査結果が出るまで3カ月から半年程度かかりますが、認定されると申請した月の翌月に遡って医療特別手当が支給されます。
 東友会は、申請書類一式と意見書などを医師にお願いする場合の「手紙」、記入見本などを用意して、希望する方に郵送しています。